2)2連ポスター、PRの抜け道

写真・図版2015年4月22日05時00分朝日新聞
 
2連ポスターの見本。立候補予定者と別の誰か、政党名などが並ぶ=イツキプリント社提供

桜がほころび始めた頃、街のあちこちで「誰か」と「誰か」がアップで並んだポスターに遭遇した。「温かい市政を」。キャッチフレーズや名前の巨大な文字が視界に入り込んでくる。

 でもよく見れば、豆粒ほどの「弁士」や「会場」の文字。来月の演説会のお知らせだ。一方、4月初めに神奈川県で見つけた市議選立候補予定者のポスターは「平成28年3月10日」の告知。1年後、やるの?

 選挙用語で「2連ポスター」という。公職選挙法の網をくぐった産物だ。

公選法は、任期満了まで半年を切ったら、立候補予定者がポスターを貼るのを禁じる。PR合戦でお金がかかる選挙になるのを防ぐためだ。だが「立候補予定者」「別の人」「政党に関する表記」を1枚で同じ割合にすると、告示まで貼れるポスターに変わる。総務省が認める見解だ。演説会告知が必須とされたわけではないが、なぜか広まったらしい。

 演説会は二の次、三の次。一番知ってほしいのは私なんです――。小さな文字に気持ちがにじむ。

 神奈川のポスターも3日の告示とともにはがされた。で、演説会はやるんですか? 「やらないでしょ。その頃は誰も覚えてないから」と陣営。幻の告知なのだ。


備考
このような二連ポスター、政党に属している議員なら党首など知名度が高い政治家とのツーショットで演説会のお知らせを掲示するのが一般的。
「個人のポスターでは無い」ということが基本ですから、人物①と人物②と政治団体部分の3つの面積がそれぞれ1/3に分割されている(特定の人物が目立つ作りはNG)必要がある。政治団体のスペースに個人の主張(例えば選挙本番に公営掲示板に張るポスターに掲出するフレーズ)が記載されている場合は公職選挙法違反を問われることになります。また、告示と同時にはがさなければいけないが、抜け道ということでそのまま放置し続けるたぐいの候補者は、政治姿勢とルール無視を疑われても仕方が無い。
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