フランスの子ども手当はこんなに手厚い!

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出生率回復へ。充実したフランスの育児支援制度

民主党目玉施策でもある「子ども手当」。日本だけでなく海外にも存在する

民主党目玉施策でもある「子ども手当」。日本だけでなく海外にも存在する

民主党にとって去年の選挙で「売り」にしていた子ども手当の法案が、先月3月国会を通過して成立しました。財源の問題や、日本人以外の子どもを含めることの是非など、かなり論点が残されている子ども手当ですが、こういった育児支援の制度は海外にも存在。

先進国では、少子化問題は必ず起こると言われています。しかし、フランスは各種ある手厚い子育て支援策によって、1993年には1.6付近まで下降していた出生率を、その後回復させることに成功しています。世界不況にも関わらず、2009年出生率は人口維持に必要な2.0を超えるまでに戻ってきました。

そこまで出生率回復に成功しているフランスの手厚い子ども関連手当はどのようなものなのか、じっくり見てみましょう(なお、金額は一部<出産一時金など>を除いてすべて月額で、為替レートは1ユーロ=125円で計算。金額は2010年4月現在のものであり、その後は随時変更される可能性があります)。

1.一般扶養手当

子どもを持つ家庭全体が受給することができる一般扶養手当は、主に4種類の手当から成り立っています。

家族手当
最も基本的な家族手当は、2人以上の子ども(20歳未満)を持つ家庭すべてが受給できる手当。家族手当には所得制限がなく、高所得家庭でも受給することができます。金額は子どもが2人いると、124.54ユーロ(約1万5500円)、3人目以降は、1人ごとに159.57ユーロ(約2万円)。

さらに子どもが11歳以上になると35.03ユーロ(約4400円)、16歳以上になると62.27ユーロ(約7800円)が加算されます。この加算額は、子どもが1人(なし)、2人(1人分だけ)、3人以上(全員分)と、子どもの数によって変わります。

1人の子どもがいるだけでは、家族手当を受け取ることはできません。ここからしてすでに、「2人以上の子どもを奨励する」フランスの育児支援政策の意義を見ることができます。

成人手当
子どもが3人以上いる場合は、各子どもが20歳に到達した時点から1年間、成人手当として、78.75ユーロ(約1万円)を受け取ることができる。

低所得家庭手当
3歳から21歳までの子どもがいる家庭で低所得の世帯は、162.10ユーロ(約2万円)を受け取ることができる。

孤児手当
片方または両方の親を失った子どもに対する手当で、片方の親を失った場合は87.57ユーロ(約1万1000円)、両方の親を失った場合は116.76ユーロ(約1万4500円)をもらえます。失うという言葉には離婚した場合も含まれるので、シングルマザーの場合も受け取ることができます。

2.幼児養育手当

幼児養育手当は、出産直後の乳幼児を持つ親に給付される各種手当。こちらには主に4種類の手当があります。

出産一時金
妊娠して、出産することになった場合にもらえる出産一時金は日本にもありますが、フランスにも同様の制度があります。ただし、こちらには所得制限があります。

妊娠した場合は、7ヶ月目に894.19ユーロ(約11万2000円)をもらえます。加えて、この制度は自然妊娠の場合だけではなく、20歳未満の養子をもらった場合でも適用されます。養子の場合は、1788.37ユーロ(約22万4000円)と、妊娠の場合に比べてなんと2倍程度の金額がもらえます。

基礎手当
幼児養育手当の基礎手当として、子どもが出生してから3歳になるまで(養子の場合は養子になった日から3年間)、178.84ユーロ(約2万2000円)が支給されます。

育児休暇補償
子育てのために、仕事を休職した場合の補償として支払われます。1人目は6ヶ月間、2人目以降は3年間の休職期間中に給付されます。金額は、完全に休職する場合で554.88ユーロ(約6万9000円)、フルタイムの50%以下の時間でパートをするなら421.93ユーロ(約5万3000円)、フルタイムの50~80%の時間で仕事をするなら319.07ユーロ(約4万円)です。3人以上の子どもがいて、かつ休職期間が12ヶ月以下なら、789.54ユーロ(約9万9000円)に増額される措置もあります。

保育料手当
子どもを保育園などに預けて働く場合は、保育料手当がもらえます。これは育児休暇補償と同時にもらうことはできません。育児休暇を取るか、保育園に預けて働くかどちらかになります。もらえる金額は地域の保育園の料金によっても変わるので、定額ではありません。

3.特定目的手当

特定目的手当は、障害児など特別な事情がある子どもを育てている場合に受け取れる手当。これには主に5種類あります。

障害児手当
障害児を育てる親に給付される手当。金額は最低額が124.54ユーロ(約1万6000円)ですが、障害の度合いによって増額され、最高では1000ユーロ(約12万5000円)をもらうことができます。またシングルマザー(またはファザー)の場合も、最高で416.44ユーロ(約5万2000円)が増額されます。

学童手当
6歳から18歳までの就学する子どもを持つ家庭で、所得が一定以下の家庭に給付されます。金額は、だいたい300ユーロ(約3万8000円)程度。

看護手当
子どもが病気になった場合に支払われます。金額は1日あたり41.37ユーロ(約5000円)です。低所得の家庭の場合、子どもの医療費が一定金額を超えたら、その差額を負担してもらえます。

住宅手当
子どもを持つ家庭が住宅を取得する際に与えられる手当。金額は取得する住宅の価格によります。

引越し手当
子どもを持つ家庭が引越しをした場合に、引越し代が援助されます。これには所得制限があり、3人子どもがいる家庭なら上限額は934.08ユーロ(約11万7000円)です。

このようにたくさんの手当がありますが、その他にも所得税が子どもが多いほど少なくなったり、育児休暇も取りやすい職場環境が整っていたり、公共交通機関や各種施設(博物館・美術館など)が子どもがいると割引になるなど、フランス社会の子育て支援は日本とは比べ物にならないほど充実しています。

日本も本気で少子化問題に取り組みたい場合は、これくらいやる必要があるのではないでしょうか?

参考サイト:CLEISS(国際社会保障センター)
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